クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その12:二十九、三十(終)

クリープハイプ、ニューアルバム全曲カウントダウンレビュー! その12:二十九、三十(終)
12月3日、クリープハイプのニューアルバム『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』発売。リリースまで、このブログで毎日1曲ずつ、レビューをしていきます。

リリースまで1日、最後は12曲目“二十九、三十”です。

■俺、この曲すごい好きで。うちの親父に聴かせたい曲だなと思った(小泉拓)


11曲目のノイズがやんで、穏やかに流れ始めるイントロ、そして最初の一言《いつかはきっと報われる》。それを聴いた瞬間、思わず感極まってしまった。だって、できすぎだろう。11曲目がどんな理由でああいう「曲」になったかは昨日たっぷり書いた(http://ro69.jp/blog/ogawa/114490)。シングルとして書いたこの“二十九、三十”が、アルバムの最後で、ちゃんと意味をもって、アルバム全体を包み込むように鳴り響く。それが『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』の正しさ、真っ直ぐさを証明しているように思えてならない。この曲のもつ優しさ、歌はもちろんだし、それを柔らかく支えるようなバンドの演奏も、まるで最初からここに収まるために生まれたようだ。

この曲はもともと、フリーペーパー『R25』とのコラボレーションのために、「同世代に向けて書いてくれ」とオファーを受けて尾崎が書き下ろしたものだ。同世代のことを考えて、そこに向けて曲を綴るということは、もちろん彼自身のことを見つめて、そこにある気持ちを書くということにほかならない。孤独で、しんどいことも多くて、でも何とか前を向いて歩いていこうとするひとりの主人公の姿が描かれているのだが、それはそのまま、尾崎世界観とクリープハイプの姿でもある。

『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』は優しいアルバムだ。その優しさは、孤独と、そこから生まれる切なさに裏打ちされている。その孤独や寂しさや切なさ、ネガティヴな感情もすべて抱きしめることができたからこそ、このアルバムはこういうアルバムになった。いろいろあったし、これからもいろいろあるだろうし、面倒くさいし厄介だけど、それでも《前へ進め》と歌える。クリープハイプがたどり着いた場所がどんなところなのかは、その事実がすべて物語っている。

現在発売中のJAPANに掲載している全曲解説インタヴューで、カオナシがこんなことを言っていた。

「《これから》っていう声で、このアルバムは始まるんです。で、《前に進め》っていうカットアウトのブレイクで終わる。それがすごくいいですよね」

物語はここから始まり、前へと進んでいく。


以上、『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』全曲レビューでした! お付き合いいただきありがとうございました。
明日は発売日記念っちゅうことで取材時のオフショットをアップしようと思います。
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