The Birthday、3度目の武道館を巨大な愛で包み込む

The Birthday、3度目の武道館を巨大な愛で包み込む
確信に満ちたロックバンドが鳴らすものは、その音、その演奏、その声、その佇まい自体がメッセージになる。言葉を超えたメッセージだ。今、The Birthdayはそういう状態にいる。しかもそのメッセージは、間違いなく人を前に向かせ、世界を美しく変えていくメッセージだ。3度目の武道館、とんでもないライヴだった。

10周年だし、ベストアルバムのタイミングだし、多少なりとも回顧的なものになるのかなとも思っていた。実際曲目的にはキャリア全体からまんべんなくチョイスされていたのでそういう部分もなくはなかったけど、ステージから放たれる音はひとつ残らず今を起点に未来のほうに向かっていた。それが何よりも感動的で嬉しくて、アンコールの”さよなら最終兵器”を聴きながら泣いてしまった。あんな優しい歌だったっけ、あれ。

ここのところ、チバユウスケの書く歌は常にひとつのものを歌っている、と僕は思っている。それをあえて言葉にするなら「愛」だ。バンドが始まって10年、フジイケンジが加入してからでも5年。バンドとしての成立過程を終えて、今のチバには何を歌うべきか、ロックで何を描くべきか、それがとてもクリアに見えているような気がする。だからその言葉やその歌声は、内側にではなく外側に向かう。いいメロディが生まれ、直接的な言葉が使われ、それを届けようと丁寧に歌われる。超ダイレクトなコミュニケーションになっていく。

”MOTHER”でシンガロングを求めて客席にマイクを向けるチバは、底なしに楽しそうな笑みを浮かべていた。今再び世界とつながっている、その感覚が笑顔を生むのだろう。そのつながりこそが、彼らが歌う「愛」だ。
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