back numberのニューアルバム『シャンデリア』が12月21日付のオリコンウィークリーアルバムチャートで見事1位を獲得した。
ちなみにその前週の1位は星野源『YELLOW DANCER』。いずれも初の1位で、前作から較べて売上枚数も大幅にジャンプアップを果たしている。
『シャンデリア』についてはこのブログで先日たっぷり書いたのでそれを読んでいただくとして↓
http://ro69.jp/blog/ogawa/135314
ここではちょっと角度を変えて考えてみようと思います。
星野源の『YELLOW DANCER』とback numberの『シャンデリア』。2週続けてリリースされた2作のアルバムが、いずれも大ヒットとなっているというこの状況はもちろん偶然だし、どちらの作品も素晴らしいクオリティのポップアルバムだから売れているわけなのだが、この2作を並べてみると何かしら共通項があるような気がする。
『YELLOW DANCER』の1曲目を飾る“時よ”は動いていく世界とそこに生きる人に対する讃歌だ。続く“Week End”は現在から未来へ向かって突き進んでいく我々の「生」に対するポジティヴな信頼の歌だ。《僕等はいつか終わるから/踊る いま》という“SUN”もそうだし、“ミスユー”に描かれる「終わり」と「始まり」の風景も、“Friend Ship”も、「別れ」の風景の先にある種の希望を見出している。《手を振りながら/離れゆく場所で/笑い合うさま》と、主人公はひとりで《何処までも/つづく旅》を行く。
一方『シャンデリア』が描き出すものもまた、孤独と向き合いながらも今にとどまることなく「先」へと進む主人公の姿だ。鏡に映る自分との対話を描いた“SISTER”はもちろん、別れの風景をヒリヒリした筆致で書く“サイレン”も、女性視点で恋の残酷な結末を歌う“ミラーボールとシンデレラ”も、“手紙”もそう。back numberの真骨頂ともいえる片思いの気持ちを綴った“ヒロイン”や“クリスマスソング”もいうに及ばず。『シャンデリア』の中に生きる主人公たちは多くがひとりであることを痛烈に実感しながら毎日を生きている。
「君はひとりじゃない」と励ます歌ならたくさんある。「あなたと永遠に一緒にいたい」と歌うラブソングもたくさんある。しかし『YELLOW DANCER』も『シャンデリア』も、みんなひとりひとりだということをしっかり見つめた先で「でも繋がることはできる」「ひとりとひとりを繋ぎ合わせることはできる」ということを歌っているように、僕には聞こえる。そのタフで誠実な眼差しが、この2枚のアルバムの圧倒的なポピュラリティを支えているのではないかと思う。
星野源の“Friend Ship”がそうであるように、back numberの“手紙”がそうであるように、孤独の先に誰かがいるということ、そしてその誰かと再び手を取り合える可能性を信じること。それは孤独とその裏返しとしての安直な「つながり」が蔓延する時代において唯一の希望なのかもしれない。
どっちのアルバムも、聴いていると感動とか泣けるとかじゃなくて、本当に勇気づけられるのだ。
星野源とback numberが歌う「孤独という希望」(『シャンデリア』1位おめでとう!)
2015.12.15 18:51