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    渚園ワンマン、ONE OK ROCKはやはりスペシャルだった

    渚園ワンマン、ONE OK ROCKはやはりスペシャルだった
    ONE OK ROCK、渚園に2日間で合計11万人を集めたスペシャルライブが終わった。
    いうまでもなく圧倒的で、ONE OK ROCKというバンドの底知れなさと強さを痛感するライブだった。そして同時に不思議な感動を覚えるライブだった。僕は1日目、9月10日の公演を観たが、その感動の余韻が今も身体に残っている。

    単独アーティストによる5万人以上のスケールの野外ライブ、ということであればこれまで何度も経験したことがあるが、9月10日、ピーカンの青空のもとで繰り広げられたONE OK ROCKのそれは、これまでに観たほかのどのライブとも違っていた。この巨大なスケール感のライブを、Taka、Toru、Ryota、Tomoyaの4人は想定を超えた特別なものとしてではなく、普段からよく知っている、自分たちの肉体にフィットしたサイズの服を着るようにしてやってのけていた。そのこと自体が、上で書いた不思議な感覚と、そしてONE OK ROCKの半端なさを物語っていた。

    この巨大なオーディエンスを何とかして掌握しようとするのでも、何か特別なことをやってみんなの記憶に刻みつけようとするのでもなく、ただONE OK ROCKとして、最高のライブを最高の状態でやる、それが結果的に誰にも真似できないスケールのロックエンターテインメントになる……という確信が、堂々たるセットリストからも、演奏からも、MCからも、演出からも滲み出ていた。そしてその確信はそのまま、渚園に集った55000人×2日にとってリアルな実感となったはずだ。

    もちろんTakaもMCで目の前に広がる光景に感嘆の声を漏らしていたし、これだけのものを作り上げたことに対する自負と興奮は間違いなく彼らの胸に赤々と燃えていたはずだ。だがその一方で、たとえばサブステージで弾き語りで歌うTakaの声はまるで家のリビングルームで歌っているみたいな親密さで響いてきたし、ステージにファンのキッズを上げてコミュニケーションを取る様子の気が置けない感じは、彼らがロックバンドとして描き、追い求めてきた夢のまっすぐさと正しさを改めて伝えてくれた。

    ONE OK ROCKは何も飾ることなく、何も気取ることなく、自分たちの進むべき道とロックを信じ続けて、結果としてこのスケールを手に入れた。Takaも言っていたが、この光景は彼らにとっては初めから「見えていた」「見え続けていた」ものなのだと思う。

    そんなバンドはほかにいない。メガセールスを記録しているから、とか、世界を知っているから、とかではない。バンドとしての信念と進み方と佇まいにおいて、ONE OK ROCKのようなバンドはほかにはいない。
    渚園スペシャルライブ、そこで何がスペシャルだったのか。ライブの規模でも動員数でもない、そこで音を鳴らしている4人こそがスペシャルだという改めての証明、それがあの2日間だった。

    アンコールの前、ふと空を見上げるとまっすぐな飛行機雲が見えた。
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