9mmはやっぱりすごかった。今年初ワンマン、「カオスの百年」を観た!

9mmはやっぱりすごかった。今年初ワンマン、「カオスの百年」を観た!

最高だった。
9mm Parabellum Bulletの自主企画「カオスの百年 vol.11」。

「カオスの百年」史上初の大阪開催であり、昨年末に足を骨折→着席ライヴを余儀なくされた滝 善充の完全復帰公演であり、何より9mm自身にとってワンマン/イベント含め約半年ぶりのライヴとなるこの日のステージ。年越しイベント「LIVE DI:GA JUDGEMENT2014」の大トリとして大晦日深夜(日付上は1月1日)に出演したのを除けば「2015年9mm初ライヴ」でもある。

インディーズ時代の2006年から事あるごとに彼らのライヴを観ているが、各自の個別活動以外に、4人がバンドとしてこれだけ長い期間ステージから離れていたことはまずなかったと思う。

半年にわたり9mmおあずけ状態の大阪のオーディエンスは、開演と同時に瞬間沸騰状態に。

冒頭の“Answer And Answer”からZepp Namba激震の熱狂だったのはもちろん、中盤で「9月9日リリース」の発表とともに披露された「クアトロA面シングル」(4人それぞれ作曲/プロデュース担当!)に収録される、この半年間に制作された4つの新曲=“反逆のマーチ”“ダークホース”“誰も知らない”“Mad Pierrot”に至るまで、フロアの誰も彼もが喉元まで喰らいつくように熱く謳歌しまくっていたのが印象的だった。

そして、誰より「9mmのライヴ」に飢えまくっていたのが、マイクスタンドを倒すほどの乱舞激奏ぶりを見せていた滝をはじめ、ステージの9mm自身だった。

菅原卓郎も、この日のMCでこんなことを話していた。

「9mmとしてライヴしてないと、『俺って何者なの?』って感じになってきて。風呂入って鏡とか見てても『誰だこの人?』みたいな。で、『そんな感じなんだよね』って言ったら、和彦も同じようなこと言ってた(笑)。『俺って何なんだっけ?』『何のために生きてんだっけ?』って。いやあ、生き返りましたよ、俺は!」

音楽世界が強烈なオーラとカリスマ性を放っていても、メンバー個人はカリスマ性を求めないし、己の存在感に頼らない。そういうポリシーのバンドは数多あると思うが、9mmはそれが実に顕著だ。俺たち個人ではなく、歌を聴いてくれ、音楽を楽しんでくれ、という姿勢が徹底されている。それを貫きながら、武道館やフェスの巨大ステージを沸かせているのが逆にすごいところだけど。

もともと9mm Parabellum Bulletは「拠り所のないバンド」だった。地元横浜のパンクシーンにハマりきれなかったという結成当初の境遇の面でも、メタル/ハードコア/ロックンロール/歌謡など多岐に渡る雑食志向を楽曲化する方法論の面でも。頼るべきところは自らの楽曲とサウンドしかなかった。

それゆえに、彼らは楽曲とサウンドを極限まで鍛え上げるに至った。そのストイシズムこそが、メタル/パンク好きからJ-POPファンまで幅広いオーディエンスや、ジャンルを問わず他のアーティストたちの信頼を集めてきた最大の理由だろう。

バンド自身はどこのジャンルにもシーンにも属さないが、さまざまなシーンから自分たちのライヴに集まってくれる観客には、その楽曲で全力のウェルカムを表明する。昨年の結成10周年記念の日本武道館2Daysはまさにその象徴だった。

この日の本編ラストを飾った、最新アルバム『Dawning』のラストナンバー“The Silence”。昨年のライヴではメタル/ヘヴィロックの王宮の如き荘厳さをもって轟いていたこの曲が完全に血肉化されて、パンクロックかってくらいダイレクトに胸に響いてきたのもよかった。

曲目含めたライヴレポートは後日改めてUPさせていただくが、「こんな曲よく演奏できるなあ」をひとつひとつ「次のライヴのスタート地点」に変えて、さらにその先へ爆進していくすごいバンドだ、と改めて思わされたことはこの日の記憶とともにどうしても形に残しておきたかった。(高橋智樹)
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