来年1月に発売される予定の、10枚目のオリジナルアルバム『THE LAST』。今宵はその収録曲を、リリースに先駆けて生演奏するという趣向で幕開け。これがとんでもなく凄い曲のオンパレード! そして、その新作の期待を高めるために、一分の隙もない完璧な演出だった! このアルバムはすごいことになりそうだ。スガ シカオが、ついに生身のスガ シカオになったとでも言おうか、言葉の粒が痛いほどに耳に入ってくる。強烈だ。
ライヴ後半はアコースティックセットで展開。しかしクリスマスだから和やかなムードというわけではなく、むしろ歌の輪郭がくっきりと伝わる分、いつもよりも生々しく言葉が伝わってくる(いや、いつだって生々しいけど)。そしてステージに向けての観客の本気のレスポンスは2階席から見ていて圧巻だった。左右に振られる腕、腕、腕。あんなに素晴らしく美しい生命力に満ちたオーディエンスの動きを久しぶりに見た気がする。そりゃ、あんな魂の入った歌や演奏を聞かされたら、指先までエネルギーが漲るのも頷ける。中だるみの時間などまったくない、あっという間の2時間半。誰もが早く新作をじっくり堪能したいと思ったはず。(杉浦美恵)