Ms.ローリン・ヒルがいる時代を噛みしめる。ZEPP東京での来日公演を観て

Ms.ローリン・ヒルがいる時代を噛みしめる。ZEPP東京での来日公演を観て

昨年の来日は観ることができなくて残念だったが、約1年でまたチャンスが訪れた。いよいよ最前線に帰ってきたローリン・ヒルを、観ておかなければならないと思った。

緩急自在・変幻自在の凄まじいバンドサウンドの中に降り立ったローリンは、無限の抱擁力を感じさせながらすべてをなぎ倒す「格」を纏っていた。着飾るわけでも、肌を晒すわけでもないのに、フェミニンで、チャーミングで、無敵なのである。

ギターを掻きむしりながら熱く鋭くラップする“I Gotta Find Peace of Mind”でZepp Tokyoを沸かしまくり、一期一会の体験でしかありえない“Ex-Factor”に震え、フージーズ曲の爆発的にファンキーなパフォーマンスにぶっ飛ばされる。

ボブ・マーリーのカヴァーは言わずもがな、シャーデーの“Your Love is King”から“The Sweetest Taboo”に繋ぐメドレーは、どちらも大好きな曲である上に今のローリンにぴったりで感激しきりだ。全編に、ラテンで情熱的なアレンジが施されていたのも素晴らしい。オープニングのDJが約1時間あったのだけれど、その後の本編も2時間きっちりやった。

先人たちのタフなスピリットを自由に解釈し継承するローリンは、そしてその音楽に触れて生きる現代の我々は、決して間違えていない、と思えるライブだった。41歳、まだまだこれから。新作リリースを強く要望していこう。(小池宏和)
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