AA=の対バン・シリーズ「VERSUS LIVE 〜X-FADER #2」@東京・渋谷o-eastを見てきた。11日の大阪=ポリシックスに続き、今回はNothing’s Carved In Stoneとの対バンである。
非常にテクニカルでソリッドで、しかもポップでメロディアスなサウンドを聴かせたNothing’s Carved In Stoneは、いつもながらバンドとしての音楽レベルの高さを見せつけていた。
そして主役のAA=は、例によってのラウドでヘヴィなサウンドで攻め立てながらも、いつになく聴き手に対して開かれた、共有を促すようなパフォーマンスに映った。それは客に対して手拍子を促したりマイクを向けたりといった表に出た仕草だけでなく、彼ら、というか上田剛士が、今という時代だからこそきちんと観客にメッセージを伝えたいという思いをもってライブをやっていることが感じられたということだ。
それがはっきりわかったのが本編最後。上田がドナルド・トランプの演説音源(らしきもの)をカットアップしながら、トランプみたいな人種差別主義者が世界の最高権力者になってしまうような時代だけど、未来を作るのはオレたちなんだぜ、というようなことを言って(うろ覚え)、“→MIRAI→ (ポストミライ)”を演奏したこと。決して斜に構えず自暴自棄ににもアイロニカルにもニヒリスティックにも悲観的にもならず、あくまでもそのアティチュードはポジティブで、光と、そして愛が溢れている。それが今の時代、えらくかっこよく見えるのだ。そして、だからこそ、ということなのか、その歌のキャッチーでメロディアスな親しみやすさも際立って聞こえる。上田はロック・バンドとしての振る舞いが水際立っている。
今回から参加したYOUTH-K!!!の手数の多いドラムもバンド・サウンドに新風を吹き起こしていたし、アンコールではNothing’s Carved In Stoneのカバー(“ツバメクリムゾン”もやったし(大阪ではポリのカバーもやったらしい)、2マンなのでふだんよりは演奏時間は短かかったけど、十分楽しめたんじゃないだろうか。
そしてライブ終了後、「VERSUS LIVE 〜X-FADER #3」が2月5日青山RizMで、YOUTH-K!!!もサポートで参加するTHE 冠との対バンで行われることも発表されたのだった。この組み合わせ、なかなか面白いんじゃないでしょうか。次も楽しみである。(小野島大)