関ジャニ∞×ぼくりり、『関ジャム 完全燃SHOW』の華麗なるセッションを観た!

アカデミックかつポップに音楽を解析する場でもあると同時に、清竜人/日食なつこ/ヤバイTシャツ屋さん/Mrs. GREEN APPLEといった話題のアーティストをいち早く紹介するセレクター的機能も果たしている『関ジャム 完全燃SHOW』。
以前のオンエアで10代のガールズバンド=リーガルリリーが注目を集めたのに続いて、3月5日放送回でテーマに掲げたのは「音楽業界のプロが選ぶ!!今絶対に知っておくべき10代アーティスト!!」。

番組でもお馴染みのヒャダインともふくちゃんが
・ヒャダイン:「アイドル界のニュースター2組」こぶしファクトリー/BiSH
・もふくちゃん:「ベースとドラムで見せる路上超絶プレイ」Kyotaro&Rikuo
を紹介したところで、すかさずKyotaro&Rikuoについて「ベーマガ(ベースマガジン)で取り上げられてた」と丸山隆平&村上信五がリアクションするあたりにも、日頃からのプレイヤーとしてのアンテナ張り巡らせ感が滲む。

さらに、今回はヒャダイン&もふくちゃんを含め計7人が異なる視点から気になる10代アーティストを紹介。
・神戸「MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎」・松原裕:「楽曲・演奏力ともに実力のある10代」山岸竜之介/シンリズム
・TeddyLoid:「プロデューサー目線で最先端」MATZ/ちゃんみな
・DOTAMA:「ヒップホップ界注目の2組」Lick-G/裂固
・ヴィレッジヴァンガード イベント部門担当・立山龍廣:ヤなことそっとミュート/あヴぁんだんど
・グランジ・遠山大輔:「『未確認フェス』ファイナリストの中で衝撃を受けた2組」曽我部瑚夏/Ko-sei
といった多彩な才能について、それぞれ熱いトークを繰り広げていく。

そして――「私、絶対誰かぼくりりくんを出すと思ったからあえて出さなかった」(もふくちゃん)、「10代の一番グッときてるアーティスト代表。歌詞の世界観、言葉選びが他と違う」(ヒャダイン)といった具合に「別格」な存在感とともに語られたのがまさに、この日の関ジャニ∞セッションゲストとして登場したぼくのりりっくのぼうよみだった。

今回ぼくりりとのセッションに臨んだのは村上信五(Key)・横山裕(Tp)・渋谷すばる(AG・Cho)・錦戸亮(EG・Cho)・大倉忠義(Vo)。
「僕、あんまり生楽器の人と一緒に演奏することがなくて。しかもテレビでっていうので、めっちゃ緊張してます」というぼくりりの言葉からも、今回のセッションが彼自身にとっても特別なアクションであることが窺える。

この日のセッションで披露したのは、ぼくりりの2ndアルバム『Noah’s Ark』最終曲=“after that”。
イタリアのプロデューサー/DJ/ギタリスト=ニコラ・コンテとともにぼくりりが作り上げた、ホーンをフィーチャーしたアシッドジャズ系サウンドを、エイトバンドとともに関ジャニの面々が豊潤に響かせていく中、「情報の洪水を生き延びた先の世界」をクールかつしなやかに歌い上げてみせるぼくりりのフロウが鮮やかに広がっていく。
ぼくりり&大倉の小気味良い掛け合いあり、渋谷・錦戸も加わってのコーラスパートあり……と色彩感豊かな時間の最後、《世界は色鮮やかで可能性に満ちている/好きな方向に歩き出せるよ》(大倉)、《もちろん立ち止まってもいい/This is “Noah’s Ark”》(ぼくりり)となめらかに言葉のバトンを繋いだ瞬間まで、まさに音楽のマジックそのものの至上の共演だった。

最先鋭のアーティストを「テレビ的」な演出のまな板に無理矢理乗せるのではなく、それこそ90年代の『タモリの音楽は世界だ』あたりの番組にも通じるマニアックな音楽愛をもってアーティストの世界観と真っ向から共鳴し合うことで、その音楽の輝きを最大限に解き放つ――そんな包容力までも備えた『関ジャム 完全燃SHOW』の可能性とポテンシャルを改めて感じた一夜だった。(高橋智樹)
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