この秋、世界は“誰にも知られていなかったデヴィッド・ボウイ”を目撃する――世紀のアイコン:ジギー・スターダスト誕生の物語を描いた『スターダスト』、10月より全国にて公開

この秋、世界は“誰にも知られていなかったデヴィッド・ボウイ”を目撃する――世紀のアイコン:ジギー・スターダスト誕生の物語を描いた『スターダスト』、10月より全国にて公開 - rockin'on 2021年10月号rockin'on 2021年10月号

世紀の大傑作アルバム『ジギー・スターダスト』発表の前年だった1971年を舞台に、若き日のデヴィッド・ボウイを主人公に描いた話題のドラマ映画『スターダスト』が、10月8日(金)からいよいよ劇場公開される。監督は、英国出身のガブリエル・レンジ(『大統領暗殺』)。注目のボウイ役を演じるのは、俳優のみならず、シンガー・ソングライターとしても活躍中のジョニー・フリン(『ブルックリンの恋人たち』、『EMMA エマ』)だ。

ただ――隠しても仕方ないことなので、最初に書いておくけど――この映画には、ボウイ自身が作詞作曲した曲はいっさい使われていない。“スペイス・オディティ”も“スターマン”も流れない。理由はシンプルに、ボウイの遺族側から使用許諾を得られなかったからだ(音楽映画の世界では、割とよくある話ですが)。そのため、本作の劇中のライブ・シーンで演奏されるのはいずれも、当時のボウイがよく“カバーしていた”楽曲(ヤードバーズ、ジャック・ブレルなど)だけである。

もしも本作が音楽ノンフィクション映画だったら、そのことは致命的な欠陥になっていただろう。でも、幸いにして、この『スターダスト』は「ドラマ映画」であって、物語としての見どころも、まさにそのドラマ部分にこそある。

物語の舞台は1971年。3rdアルバム『世界を売った男』がさっぱり売れず、自らの音楽の方向性に悩んでいたボウイは、プロモ・ツアーで訪れたアメリカで、ちっとも気の合わないパブリシストとペアを組まされ、各地で珍道中を繰り広げることに!?……というプロットからも想像できるとおり、本作の肝は「自分探し」の青春ロードムービーである。劇中のキャラ設定的には「こんなヘタレなボウイ、見たことないよね!?」っていうくらいオフビートで、ユーモラスな描写が満載。

その一方で、精神病院に入っていた兄の「狂気」というキワどい伝記的要素(遺族から許諾が下りなかった一番の理由も、おそらくこれだろう)と真摯に向き合っている点も見逃せない。『ジギー~』50周年をいよいよ来年に控えた今だからこそ、ファンの方なら是非。 (内瀬戸久司)



デヴィッド・ボウイの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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