聴き込むにつれ、ザ・ビートルズの底力と歌心に惚れ直すこと必至 ―― 最もリミックスが待たれていた『レット・イット・ビー』、画期的音質で生まれ変わる!

聴き込むにつれ、ザ・ビートルズの底力と歌心に惚れ直すこと必至 ―― 最もリミックスが待たれていた『レット・イット・ビー』、画期的音質で生まれ変わる!  - rockin'on 2021年11月号 中面rockin'on 2021年11月号 中面

ザ・ビートルズの『レット・イット・ビー』の新しいミックスが1970年の発売から51周年を記念してリリースされる。このミックスは、音の要素をすべてデジタルで分解してからお掃除をしてすべて組み直すというアプローチなので、マスターを忠実に再現するというものとは根本的に違う。しかし、もちろん、オリジナルのマスターの音像はしっかり意識して守るわけで、それは2019年にリリースされた『アビイ・ロード』の2019年ミックスの通りなのだ。

いずれにしても、この『レット・イット・ビー』は実は最もこうしたリミックスが待たれた作品だったかもしれない。というのは、このアルバムは無軌道な勢いのまま設立されたアップル・スタジオで制作され、アビイ・ロードやほかの名だたるスタジオで生み出されたほかのビートルズの作品と較べて明らかに制作環境が劣っていたからだ。さらに、よく知られているようにバンドはこの時期、まさに崩壊を迎えつつあった。

しかし、このアルバムの内容は聴き込めば聴き込むほど、バンドとしてのビートルズの底力と歌心を感じさせるものになっているのだ。せめてバンドが満足したかもしれないような音質に少しでもこの名作を近づけようとするのが、今回のミックスの主旨だといってもいい。

すでに明らかになっている2曲がその証拠だ。たとえば“アクロス・ザ・ユニヴァース”などは、これまでジョン・レノンのボーカル以下バンドの演奏はモノラルで、プロデューサーのフィル・スペクターが施したオーケストラなどのみが極端なステレオになっていたが、今回はすべてがステレオに分解され、この曲本来の美しさを見事に蘇らせている。そしてその評価は別として、なぜフィル・スペクターがオーケストラのダビングにこだわったのか、その理由もよくわかってくるのだ。

あるいは名曲“レット・イット・ビー”は、本来の音像を守りつつも、ビートルズが最も望んだ音の鳴り方はこういうものではないかというミックスが試みられている。そのほか気になっていた音源満載で、これはどうしても聴き届けたいものなのだ!(高見展)



ザ・ビートルズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

聴き込むにつれ、ザ・ビートルズの底力と歌心に惚れ直すこと必至 ―― 最もリミックスが待たれていた『レット・イット・ビー』、画期的音質で生まれ変わる!  - rockin'on 2021年11月号 右:表紙/左:表2rockin'on 2021年11月号 右:表紙/左:表2

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