進化し続けるグレタ・ヴァン・フリートの圧倒的ケミストリーが炸裂した「ストレンジ・ホライゾンズ・ツアー」、グリーク・シアター公演レポート!

rockin'on 2022年1月号 中面

2夜連続で約6000人収容の野外劇場を完売にしたLA公演の初日10月26日。周囲の森と星空に似合うビンテージ風の粋な衣装で、4人はステージに登場した。

最新作『ザ・バトル・アット・ガーデンズ・ゲート』の“エイジ・オブ・マシーン”のイントロに総立ちの観客が沸き、サムのハモンド・オルガンとジェイクのギターとダニーのドラムが渾然一体となって神秘的で荘厳なサウンドを繰り出す中、ジョシュの野性的なハイトーン・ボーカルが天を貫く。

客席の9割はワクチン接種済みでマスクをしておらず、以前と何ら変わりない熱狂が目前に広がっていた。2017年の初LA公演の観客の大半は中高年男性だったが、今や男女比率は半々でお洒落な女子が目立ち、彼らがロックを再びクールにしたことを改めて実感する。

それから新作の“ヒート・アバヴ”に雪崩れ込み、サムがベースに移行してデビュー・アルバム収録の“ホエン・ザ・カーテン・フォールズ”をプレイした後は、グラミーを受賞したセカンドEPの曲を立て続けに2曲披露。会場の熱気は最高潮に達した。

その後に挟まれた1曲分の長さの強烈なドラム・ソロを始め、煌びやかなギター・ソロ、延々と続く驚異的なジャムといった70~80年代のハード・ロックの定番要素が頻出するショウは、サウンドの幅を拡大した新作で一層強化された泥臭い独自のグルーヴが渦巻く即興演奏を織り込みながら、実に有機的に進んでいった。観客も自発的に手拍子や合唱を続け、アンコールの最後にデビュー曲の“ハイウェイ・チューン”を大合唱して、圧巻のラストを共に創出した。 

グレタ・ヴァン・フリートの最大の強みと新しさは、20代前半のメンバー全員がフロントマン級の存在感と華を持ちながら、完全に一体化している点にある。今の時代では奇跡に思えるほど「4人で一つ」で、その生々しいケミストリーが彼らのライブの肝なのだ。彼らは全人類と森羅万象との調和を説く楽曲のメッセージを、自らのライブで体現しているとも言えるだろう。一度は体験してみて欲しい。(鈴木美穂)



グレタ・ヴァン・フリートの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


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