「お客さんに言うんだ。『みんなの大好きな曲をやる。新曲は一切やらないよ』って。でも、迎合してるって、こきおろされる。
ただ、みんなはそれなりのお金を払ってるんだから、観たがっているものを観せて当然だと思う。それが仕事なんだ。僕はエンターテイナーだからね」
ソロ・デビュー50周年を記念して、日本でのシングルをすべて収録する日本独自企画盤『ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』を12月にリリースするビリー・ジョエル。
その名曲群を振り返ると、その最大の魅力は哀愁に満ちた調べを歌い上げるピアノと類稀なほど耳について離れないメロディ、あるいは力みなぎるピアノ・リフに乗せて歌われる聴き手を高揚させる楽曲の数々でもって、誰しもが思い当たるような心情を、まるで自分のことかと思わせるほど生々しく描いてみせることだ。
さらに、ビリーは社会構造の変質が生んだ悲劇と幻滅を歌ったかと思うと、ドゥーワップやソウルも難なくこなし、エッジーなロックも自分の歌として叩きつけてきた。要するに、ポップ・ミュージックのメインストリームにいながら、ロックやR&Bやソウルなど自分の糧となってきた音すべてを見事に血と肉としているのだ。
そしてそれはニューヨークで生まれ育ったということと表裏一体なものなのだ。以下に紹介する2018年のインタビューは、そんなビリーの資質や生い立ち、そしてその視座を実にわかりやすく紐解いてくれるものだ。 (高見展)
ビリー・ジョエルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。