鑑賞中、幾度となく「ロックンロール!」と叫び出したくなる瞬間の連続だった。それは、ロックが原初的に抱えていたヒリヒリするような「いかがわしさ」をオースティン・バトラー演じるエルヴィス・プレスリーがリアルな体験として完璧に見せつけてくれたからだ。
メンフィスの街で音楽に魅せられ育ったエルヴィスが歌手として覚醒し、キングオブロックンロールへと成り上がっていく前半から、掴んだはずの巨大な成功から一転、ドラッグに溺れ破滅を迎える後半まで、とんでもない熱量がグルーヴする2時間39分。
まるで本物のエルヴィスが憑依したかのような圧巻の歌唱とパフォーマンス、本作の語り部であるマネージャー:パーカー大佐役トム・ハンクスの怪演により怒涛のスピードで繰り広げらていく人間ドラマは、エルヴィスのファンならずとも誰もが楽しめる至高の音楽映画です! 是非劇場で刮目してください。(鴨志田翔)
『エルヴィス』
7月1日(金)より全国公開