日本をルーツにもつSSW:コナン・グレイ、新時代のポッププリンス誕生か?! 誰しもが持つ心のうずきを極上のポップソングに昇華させた、日本初ライブをレポート

日本をルーツにもつSSW:コナン・グレイ、新時代のポッププリンス誕生か?!  誰しもが持つ心のうずきを極上のポップソングに昇華させた、日本初ライブをレポート - rockin'on 2022年9月号 中面rockin'on 2022年9月号 中面

深紅のベルベットのスーツをまとう王子様然とした彼の姿に、パンデミック下でなければ耳が痛いくらいの歓声が上がったに違いないが、代わりにオーディエンスは、耳が痛いくらいの拍手や手作りのバナーで最大限に歓迎の意を示す。

“彼”とはもちろん、セカンド『スーパーエイク』を携えて待望の初来日を果たし、7月15日に東京、渋谷でショーケースライブを敢行したコナン・グレイのことだ。もっとも、母の故郷広島県で幼少期を過ごしたコナンにとって、今回はあくまでアーティストとしての初来日。「前回日本に来た時はまだみんなと出会っていなくて、普通の高校生だったけど、僕の人生は大きく変わった」と感慨深げに語っていた通り、紛れもないポップスターへと成長して日本に帰ってきてくれた。

そんな記念すべきパフォーマンスでは、4人のガールズから成るバンドを従えて、最新シングル“ディザスター”など『スーパーエイク』からの3曲に、ファースト『Kid Krow』の2曲を加えた5曲を披露。それまで3日間みっちりメディアの取材を受けて声を酷使していたはずなのに、ボーカルは申し分ない。広い声域をフルに活かして、歌詞が含む複雑なニュアンスを丁寧に引き出していく。

そして曲ごとに「みんな恋したことある?」とか「こういう人、周りにいるでしょ」と切り出し、目線を終始聴き手に合わせて饒舌にインスピレーションを説明するコナン。ステージの上でも、かつてテキサスの片田舎のベッドルームから、世界に語り掛けていた頃と同じインティマシーを維持しており、共感力の高さを実感させられる。

中でも最も大きな共感を呼んだ20年のヒット曲“Heather”はさすが、ひと際ラウドな拍手で迎え入れられた。完璧過ぎる恋敵に嫉妬している少々キツい内容ゆえに、歌い終えると「ごめんね、ヘザー」と謝ってはいたが、思っていてもなかなか言えないことを躊躇なく言葉にしてくれるところにこそ人気の理由があるわけで、理想化された恋愛への憧れと反感の間でズキズキ痛んでいる彼のハートに痺れるばかりだった。 (新谷洋子)



コナン・グレイの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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