現在発売中のロッキング・オン6月号では、ザ・ナショナルの新作『ファースト・トゥー・ページズ・オブ・フランケンシュタイン』ロングレビューを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=坂本麻里子
「スタイル重視の音楽や一瞬にして成功を収めてもすぐ忘れられてしまう音楽は作りたくなかった。多様で総合的なものを作りたかったし、それで自分たちのリスナーを見つけるのにかなり時間がかかったんだと思う」(アーロン・デスナー/ロッキング・オン2013年取材時の発言より)
USインディ界の新古典:ザ・ナショナル待望の9th『ファースト・トゥー・ページズ・オブ・フランケンシュタイン』。前2作のエレクトロニックな実験性を洗練された形でサウンドに昇華し、メロディは絹のリボンがほどけるように心の機微を胸に届けてくる。ラディカルな変化はないが、このバンドの本質――歌心と緻密なサウンドスケープの融合――を更新する素晴らしい1枚だ。
というか、結成から24年になるこのバンドは、ラディカルさやハイプとはほぼ無縁だった。デビュー時からアイデンティティと音がほぼ完成しているバンドもいて、彼らは文句なしにクールだ。だがナショナルは、メンバー同士/嗜好や受けた影響/音楽&アート/社会との対話を通じアイデンティティを徐々に構築してきた。
皮相な言い方をすればアンクールなバンドということになるが、US同期生の多くがメンバーチェンジや一時休止の難関にぶつかったのに対し、堂々たるカタログを築きながら音楽性も伸ばし、人気/セールスはまだ上昇中――しかもインディレーベル所属を貫いたままで――のナショナルは結果的に「クール」の概念そのものを静かにシフトさせ、現代的なアメリカンバンドのひとつの理想を体現することになった。
(以下、本誌記事へ続く)
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