ピンクパンサレス:Z世代を代表する大型新人が待望のデビューアルバムをリリース!

rockin'on 2023年12月号 中面

2020年代にデビューした新人アーティストのうち、最も大きな影響力を生んだトレンドスターは誰? 恐らくその筆頭がピンクパンサレスであることに、異を唱える者はいないだろう。

彼女には実にたくさんの紹介タグがつけられる。Y2Kリバイバル、ドラムンベースのノスタルジー、新たなベッドルームサウンド、浮遊するウィスパーボイス、Z世代に人気のTikTokミュージック、プラネットレイヴ――。<ピンクパンサレス以降>というタームにおいては、ダンスミュージックはもちろん、K-POPやDTM音楽など、多くのポップミュージックがムードの更新を迫られた。2021年10月にリリースされたデビューミックステープ『To hell with it』によって、あらゆる変化が起こったのだ。

そんな中、ついに初のスタジオアルバムとなる『Heaven Knows』が11月10日にリリースされることになった。今年世界中でヒットした、アイス・スパイスとのコラボ曲“ボーイ・ア・ライアー PT.2”ももちろん収録予定。彼女は、本作について「このアルバムは喪失による悲しみと、孤独な自分自身との平穏について歌っている」とコメントしている。

一躍時の人となったピンクパンサレスだが、ブレイクから2年間、その音楽性を常にアップデートさせてきた点は見逃せない。あまりにもドラムンベースリバイバルの旗手としてもてはやされたからこそ、フォーキーなサウンドを吸収したり、ジャージークラブのような新境地にも挑戦したりと表現手段を増やしてきた。長い曲が書けないのではと揶揄されたこともあったが、アルバムの先行シングル“Capable of Love”では巧みな構成力も見せつけている。

コラボレーションでもたくさんの話題を振りまき、トロイ・シヴァンやStray Kidsのヒョンジンとの“Rush”ではクィアネスを讃えるような甘い歌声を聴かせ、映画『バービー』では“Angel”で大ヒット作品に花を添えた。今、ピンクパンサレスがいるところにはとにかく面白い音があふれている。

アルバムには、グレッグ・カースティンやダニー・L・ハールといった豪華プロデューサー陣も参加。次はいかにしてトレンドを書き換えるのか? 楽しみでならない。 (つやちゃん)



ピンクパンサレスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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