90年代英国を象徴する最重要デビューアルバム、オアシスの『オアシス(原題: Definitely Maybe)」が今年30周年を迎える。あまりにも偉大なアルバムであるため、同作は20周年リイシュー(2014)、25周年カラーヴァイナル&ピクチャーディスク(2019)と定期的に回顧されてきたわけだが、この30周年は飛び抜けて豪華なアニバーサリーイヤーとなりそうだ。
まずは何と言っても、8月30日(30年前の日本盤リリース日と同月同日!)にリリースされるアニバーサリーエディションが破格の充実ぶりだ。最大の目玉は、モノウ・ヴァレー・スタジオでの幻のレコーディング音源が初公式収録されることだろう。同スタジオでのレコーディングの方向性にバンドが困惑し、お蔵入りになったのは有名な話。モノウ・ヴァレー版が完成版と違いすぎて面白いことになっているのは、ドキュメンタリー『オアシス:スーパーソニック』でのチラ見せ段階でも証明済みであり、コアファンにはたまらない聴き比べ体験となるはず。
他にも数曲のアウトテイク、リアムの歌う‘‘サッド・ソング”などレア曲が満載だ。ノエルが30周年リイシュー企画を主導した一方で、リアムは6月に30周年記念ツアーを敢行。チケットが発売と同時に即完した同ツアーは『Definitely Maybe』の全曲再現に加え、オアシスの必須アンセムやBサイド曲の数々を惜しみなく連打する豪華絢爛な祝祭セットで、連日大熱狂のステージとなったようだ。
ちなみに、自分のソロ曲は一切やらなかったらなかったにも拘らず、ノエルのソロ曲‘‘ロック・オール・ザ・ドアーズ’'のカバーは毎回やっていたのも大きな話題に。兄に差し出したオリーブの枝というか、リアムなりの優しさというか、そこにセンチメントを感じてしんみりしてしまったのは私だけだろうか。
「ただリイシューするだけじゃなく、あのアルバムをちゃんと祝ってゃんなきゃ」と、事前にはノエルに対して嫌味っぽいことも言っていたリアムだけれど、やっぱり『Definitely Maybe』30周年という祝祭は、兄弟のどちらも欠けずに皆と分かち合うべきものだったのだ。(粉川しの)
オアシスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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