【今月の気になるあいつ】ファット・ドッグ
熱い盛り上がりが続く南ロンドンのインディシーンに登場した新星。パワフルでカオティックなライブパフォーマンスが評判を呼び、昨年8月のデビューシングルリリース後には、世界のインディファンから一気に注目を集める。今年の夏にはUKとヨーロッバの大型フェスティバルへの出演を多数予定。今後の活躍が期待される新人バンドである。9月6日に満を持してデビューアルバム『ウーフ』をリリースする。今年の12月に初来日ツアーも決定した。現在発売中のロッキング・オン9月号では、「気になるあいつ」にてファット・ドッグを掲載しています。本記事の一部をご紹介。
●FDの母体は、ロックダウン中にジョー・ラヴ(Vo/G)の始めたソロだそうですね。彼はなぜバンドをやりたかったんでしょう?
クリス・ヒューズ(Key)
「たぶん、ジョーは孤独で寂しかったんじゃない(笑)? 冗談はともかく――バッキングトラック×シンセってのももちろんありだけど、他の楽器も使えば、最終的により厚く、豊かな音になるわけで。彼にサックスは吹けないけど、サックスと僕たちの音楽の相性はばっちりだと思うし、数が多いほどなお結構、ってこと。それに、ギグをやっていて隣の仲間に視線を送ると、言葉を交わさなくても、何かが本当に上手く作動してるのが分かり合える。そういう非言語的な意思疎通と相互理解を同時に得れる瞬間って、何より最高な気分のひとつなんだよね」
モーガン・ウォレス(Sax/Key)
「あれは本当に気持ちいい。すべてがマジに良い響きで、アイコンタクトだけでお互いに『うんうん!』と満足し合えるっていう」
●去年まで音源は出さずにほぼライブと口コミで人気を広げ、今やロンドンの大会場も完売。聴き手はなぜこんなに強く反応したんでしょう?
クリス「んー。それはたぶん、良いタイミングで、たまたまふさわしい場所でこれが起きた、という要素がかなりあるんじゃないかな」
モーガン「ロックダウン期も関わっていたよね。存分に踊れる音楽を誰もが求めていたし、それでこの、ものすごくダンサブルな音楽にみんなが反応したんじゃないかと思う」
クリス「FDが本格的にライブをやり始めたのって、規制緩和後すぐくらい、22年の初めあたり? 人々はパンデミックからやっと抜け出して、ライブ会場に戻ってきたところだった。2年もの間、彼らは身体を自由に動かしたり、ダンスすることができずにいた。そんなところにこのバンドが登場し、踊れる音楽をやり始めた、と。その受け取られ方は理解できるんだ、僕自身、もともとFDの一ファンで、後からバンドに入ったからね。なぜ好きになったかと言えば、理由はまさに今言った通りで、当時の自分には、その前のロックダウン期2年分の鬱憤を吐き出すための、何らかのはけ口が本当に必要だった。そうした面が、口コミでの評判に繫がっていったんじゃないかな」
(以下、本誌記事へ続く)
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