ロックの長き低迷?ポップの帝国時代? モダン・ポップ時代とは何か

ロックの長き低迷?ポップの帝国時代? モダン・ポップ時代とは何か
(ロッキング・オン最新号、編集後記より)


洋楽において、2000年以前まではロックが音楽シーンのメインになったりならなかったりで、そのたびに「ロックの低迷期かぁ」とか「ロックの復権だ!」とかいろいろ言いながら楽しめたものだったが、2000年以降の音楽シーンは完全にポップの時代であり、ロックがシーンのメインになることは約20年間起きていない。
もはや半永久的に起きないんじゃないかと考えるほうが自然であり妥当である。まあいいんじゃないだろうか、もともとはロックなんてそういうものだったのだ。メインストリームに対するオルタナティヴとしてロックが位置するのは、極めて本来的なあり方とも言える。そして、そういうことに自覚的なロックバンドだけが今はロックとして機能し得る。テーム・インパラとかね。じゃなけりゃディスクロージャーやウィークエンドにもはや太刀打ちできない。ロックとしての存在価値すらない。
そんな「ポップの時代」を一度総括してみようというのが今月号「モダン・ポップ特集」だ。そして、この号における「モダン・ポップ」の定義として、「ベック以降のポップ」というのを一つの概念として提示した。
60年代ポップでもなく70年代AORでもなく80年代エレポップでもなく90年代ブリットポップでもなく、「ベックが切り拓いたポップの地平」を一つの定義とした。
ベックが切り拓いたポップとは、ロックでもありヒップホップでもありフォークでもあるエクレクティックなポップの概念である。そしてサンプリング&ループ、打ち込み&同期がデフォルトなポップの概念である。そして、ダンスミュージックであるということである。それが今回僕らが提示する「モダン・ポップ」の概念だ。(山崎洋一郎)
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする