78年にポリスが登場した時、とにかく度肝を抜いたのはスチュワート・コープランドのドラムだった。
当時のロック・シーンの主流だったヘヴィーでタメの効いたドラムの真逆をいく、スピード感のある軽妙なドラムこそがポリスの最大の特徴だった。
スネアのチューニングはやたらと高く、バラードでもないのにリムショットを多用し、ハイハットをアドリブを混ぜながら細かく刻み、シンバルを裏表関係なくランダムに、しかもバスドラムではなくスネアと同時に叩くという──レゲエのドラムをロックに大幅に導入したこのドラミングは、今のオルタナ/インディーロックにおいてはむしろ珍しくなかったりするが、当時は画期的だった。
ハードロック系とも違うしフュージョン系とも違うしパンク系とも違う。
あえて、強いて言えばプログレ界の中心に居ながらドラミングとしては異色だったビル・ブルーフォードに近いと言えるかもしれない。
軽々と階段を駆け登って、キメのところで一段外すような見事な裏切り感は異常に気持ちよかった。
ボンゾと並ぶ、そして対極のドラム。
今でもポリスはついついドラムばっかり聴いてしまう。(山崎洋一郎)
写真はポリス表紙のロッキング・オン最新号
僕にとってのポリスはドラムのスチュワート・コープランドだった
2019.11.30 19:21