今月号、僕は1本もインタビューしていない。先月まではスケジュールの空き時間がみるみる消えていくようにインタビューで埋まったのに、今月はなんにもなし。JAPAN JAMの現場が忙しかったからちょうど良かったと自分に言い聞かせてはみるものの、なんだか寂しい。というか、不安だ。僕の出番はもうなくなりつつあるのだろうか。そろそろインタビュアーとしての引退の潮時なのだろうか。インタビューされるアーティストよりもべらべら喋るインタビュアーはもうお払い箱なのだろうか。インタビュー中にフェスの出演オファーをしてそれをそのまま誌面に載せるインタビュアーは危険だとマネージャーに警戒されているのだろうか。不安だ。考えるとどんどん不安になってくる。インタビューが1本もないから、考える時間がいっぱいある。不安が止まらない。インタビューがしたい。できたばかりのシングル曲やアルバム曲を聴いて、歌詞を読んで、どんなインタビューにするか考えたい。そしてアーティストの前に座って「よろしくお願いします。」と言ってICレコーダーのボタンを押したい。すごく押したい。やがて1時間か2時間お互いに集中したあげくに「ありがとうございました」と言い合いたい!
そんな心の叫びが届いたからというわけではもちろんないのだが、僕がもう一つ編集長をやっている洋楽誌ロッキング・オンのほうで[Alexandros]の川上洋平をインタビューする事になった。洋楽の新世代バンドの巻頭大特集を組んだのでそれについて語ってもらうことになったのだ。
そもそもこの企画は、先月号のJAPANでの[Alexandros]の撮影の時に洋平と洋楽の若手バンドの話題で盛り上がったのが僕の中でヒントになって生まれたということもあって、本人もすごく乗り気で、インタビューもとても濃く熱いものになった。僕も久しぶりの洋平のインタビューだしテーマも大好物だし今月初めてのインタビューだし、かなり熱くなってまたべらべら喋りすぎてしまった。でももちろん充実の内容なので気になる人は是非チェックしてほしいと思います。
というわけで悩みも解消したわけだが、今月は心残りがもう一つある。それはスライダーズの武道館が観れなかったことだ。スライダーズ? 武道館?とか言ってる奴はもう知らんけども、とにかく、あのザ・ストリート・スライダーズの武道館でのライブなのだ。解散から22年ぶりの再集結ライブなんだぞ。でも、それに僕はどうしても行くことができなかった。JAPAN JAMの開催日程と被ったからだ。こればかりは仕方がない。諦めるしかない。再集結ライブが発表されてからその当日まで、僕はスライダーズの曲を朝も夜も聴き続けた。インタビューのために聴くべき新譜もなかったし、ものすごい集中力で聴きまくった。武道館には行けなかったが、今月の僕のスライダーズ熱は行った奴らにも引けは取らないはずだ。そんな思いも抱きしめながらJAPAN JAMの現場にいて、ふとツイッターを見たら秋のツアーが発表されていた。絶対に行く。
という感じの、今月の山崎でした。(山崎洋一郎)
ロッキング・オン・ジャパン最新号コラム「激刊!山崎」
『ROCKIN'ON JAPAN』7月号のご購入はこちら
他ラインナップはこちら
[Alexandros]川上洋平にインタビューしました。(今月の「激刊!山崎」)
2023.06.03 22:10