ルー・リードとの幻の共作ナンバーが聴ける、ニルス・ロフグレンの新作『Blue with Lou』が凄い!

ルー・リードとの幻の共作ナンバーが聴ける、ニルス・ロフグレンの新作『Blue with Lou』が凄い!

ニール・ヤングルー・リードブルース・スプリングスティーン、こんな巨人たちすべてと組んだキャリアを持つのがニルス・ロフグレンだ。ソロ作も沢山あるし、70年代にやっていたグリン(Grin)のアルバムなんか、クラシック・ロック好きだったら気に入ること間違いなしで、親指にはめたサム・ピックを駆使しての独特のギター・プレイ、キース・リチャーズに通じるぶっきらぼうなボーカルの魅力は、一度ハマると抜け出せない。



そんなニルスの新作『Blue with Lou』が4月26日(国内は『ブルー・ウィズ・ルー~ルー・リードに捧ぐ』のタイトルで5月24日)に出るのだが、聴いてびっくり。なんと全12曲中ルー・リードとの未発表、共作曲が5曲、既発が1曲でニルス・ファンのみならずルー・ファンなら聞き逃せない快作なのだ。曲そのものは78、79年頃に作られておりどれも水準以上のナンバーなのに、どうしてこんなに放っておかれたのか、まったく意味がわからないけど(笑)、まぁ、こんなことがあるから面白い。

確かにルーの79年のアルバム『警鐘(The Bells)』にはニルスとの共作3曲が入っているものの(その時の“City Lights”を今回の『Blue with Lou』では取り上げている)、このアルバム、ルーにしては珍しく1曲以外、誰かとの共作だったので、まさかまだこんなに埋もれているとは考えなかった。



コトの経緯は、共通の友人ボブ・エズリンが共作者を探していたルーにニルスを紹介し、一緒にフットボールを見たりして仲を深め、ニルスは、まだ詞の付いていない曲などのストックが入ったカセットを渡したという。その後、何の反応もなかったが、ある真夜中、突然、ルーが電話してきて、これから詞を読むから書き留めろと言われたそうで(さすがルー……)、すべて終わったときは夜が明けていたという。 

最終的には10数曲完成させ、それぞれのアルバムに3曲ずつ収録、発表したわけだが、それ以外の未発表曲が今回聴ける。
“Attitude City”、“Give”、“Talk Thru The Tears”、“Don't Let Your Guard Down”、“Cut Him Up”がそれで、“Attitude City”や“Cut Him Up”(これのルーが乗り移ったかのギターは聞きもの)など、まさにルー・ワールドがプンプンしてくる歌詞で、彼だけが書ける歌詞だ、というニルスの言葉も納得がいく。ファンキーな“Give”やどこか懐かしさがあるミディアム・ナンバー“Talk Thru The Tears”は心に残るものだし、“Don't Let Your Guard Down”のコーラスと一緒に膨らませていくアレンジも素晴らしい。

またルー版のカバーとなった“City Lights”は、重い独白であったルーとは違いレゲェにアレンジし、サックスにジャズ・プレイヤー、ブランフォード・マルサリス! を迎えてスケール感を出している。

アンディ・ニューマーク(Dr)、ケヴィン・マコーミック(G)というキャリア満点のプレイヤーたちとニルスならではの極上なノリが全編に流れ、他にもルーへのストレートなオマージュのタイトル・トラック“Blue With Lou”や、トム・ペティに捧げた“Dear Heartbreaker”など、聴きどころたっぷりの新作。なんとかニルス・ロフグレン再評価!! といきたい新作だ。(大鷹俊一)
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