既に「新たなヴァンパイア・ウィークエンド古典トラック」と化している“Harmony Hall”で比較的しっとり穏やかに幕を開けたものの、続く“Holiday”、“Unbelievers”のワン・ツーで一気に場内はヒートアップ。はじけるポップネスを浴びながら手拍子、シンガロングとめいっぱいの愛情表現を返す観客ににっこり微笑むエズラ、ノリノリで腰をくねらせるバイオ(クリス・バイオ、B)とバンド側も実に楽しそうだ。
その面はセット全体にも当てはまる話で、新たなモードをいたずらにごり押しすることなく、(予期していた以上に)ファースト曲が多い内容だったのもファンへのあたたかな眼差しを感じた。とはいえSBTRKTとエズラのコラボ曲“NEW DORP. NEW YORK”の血の匂いがするファンク・ジャムから南洋のうららかなビーチを思わせる“Hannah Hunt”の繊細な情感へ難なく転じた鮮やかな切り替えぶりをはじめ、ロカビリー、ラテン・パンキーな疾走、ゴスペルの抱擁……といった具合に1曲ごとに表情や味わいを変えるコントラストの妙と見事な柔軟性、それらを貫く知的なセンシビリティには酔わされるし溜飲が下がる。過去の深化と未来への進化、その双方を彼らが見事に達成したことを実感させてくれる、素晴らしいライブだった。(坂本麻里子)
<SETLIST>
Harmony Hall
Holiday
Unbelievers
Cape Cod Kwassa Kwassa
White Sky
Sunflower
Step
2021(album version)
2021(piano version)
Horchata
NEW DORP. NEW YORK
Hannah Hunt
Diane Young
Cousins
A-Punk
Oxford Comma
(encore)
Big Blue
Finger Back
Everlasting Arms
M79
Worship You
Ya Hey