アンダーワールドによるマルチメディア・プロジェクト「Drift」エピソード4完結。そして、磨き上げたトータル・アートの総決算となる新ALリリースが待ちきれない!

アンダーワールドによるマルチメディア・プロジェクト「Drift」エピソード4完結。そして、磨き上げたトータル・アートの総決算となる新ALリリースが待ちきれない!

以前からブログでお伝えしているアンダーワールドが毎週音楽・映像・テクストなど様々な創作を発信している「Drift」プロジェクトだが(https://rockinon.com/blog/yogaku/184745)(https://rockinon.com/blog/yogaku/186162)、そのエピソード4となる『SPACE』が完結し、配信されている。

今回、まず聴覚を強く引きつけるのが本エピソードのシングル扱いとなる“Listen To Their No”だ。イーブン・キックがビートとなり、軽やかな電子音のリフとカールが歌うメロディが絡み合う開放感に満ちたキラー・チューン。どこか90年代初頭のUKテクノの邪気のなさを思わせる明るいトラックで、すでにアンダーワールドにとっての新たなクラシックとも目されている。キャリアの長い彼らからこんなにも瑞々しいトラックが届けられたことに何とも清々しい気持ちになる。


これまでもそうだったが、エピソード4はとくに楽曲の幅が広いことが特徴だ。続く“Schiphol Test”はダークなテクノ・トラックのなかにフリーキーな弦のソロが重なる催眠的な一曲。いっぽう、もっともアブストラクトな実験性を見せるのが“Hundred Weight Hammer”で、生楽器のリフが不穏に繰り返されるなかどこかシャーマニックな歌唱が聴けるこのナンバーは、「Drift」が必ずしもダンス・トラックに特化していないことを強調する。“Doris”のアンビエント、“Altitude Dub”のダウナーななかに幽玄の美が光るダウン・テンポと続き、ラストはエピソード1でもコラボレートしていたØ(フェイズ)とのタッグでアグレッシヴに攻める“Border Country”。おそらく「Drift」シリーズのなかでももっともサイバーなクールさが漂うこのテクノ・トラックで、『SPACE』は熱を残して終わっていく。


そしてこのタイミングで、一連の「Drift」プロジェクトの成果をまとめ上げたニュー・アルバムが10月にリリースされることが発表された。タイトルはズバリ『DRIFT SONGS』。もう「Drift」のトラックは聴いたよと言われそうだが、もちろん単純にコンパイルするのではなく、厳選した楽曲群をさらに拡張させ、ひとつの作品として磨きあげたものになるという。「Drift」がその場その場でできたピースをダイレクトにファンに届けていくリアルタイム性を重視したプロジェクトだったとしたら、アルバムはリスナーからのリアクションも含めたプロジェクトの成果を昇華したトータル性の高いものになるということだろう。

https://youtu.be/LY4cI2wxOcs
アルバム『DRIFT SONGS』トレイラー

映像やテクスト含め、アンダーワールドのトータル・アート性をあらためて証明した「Drift」。それは彼らが現在充実期にいることを見事に証明するものだったが、そこで見られた「旅」というモチーフも含め、新作で彼らが何を描き出してくれるかいまから楽しみだ。それまでは、「Drift」の多彩なトラックを聴きながら待つとしよう。(木津毅)

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