絶賛公開中! エルトン・ジョンの波乱万丈の70年代が象徴するポップ・スターの光と陰、映画『ロケットマン』の10の見どころ

絶賛公開中! エルトン・ジョンの波乱万丈の70年代が象徴するポップ・スターの光と陰、映画『ロケットマン』の10の見どころ

エルトン・ジョンが最高に輝いていて、最高に混乱していた時代を描いた『ロケットマン』がいよいよ公開。あの『ボヘミアン・ラプソディ』に続く音楽伝記映画として大きな話題を呼んでいる本作、ここではその見どころを改めておさらいしましょう!


伝記?ノンフィクション? 何よりファンタジックなミュージカル!


ぶっ飛んだファンタジーの味付けが、時に史実に正確な描写よりも直接的にアーティストの本質を射抜くことがある。それがポップ・ミュージックとそこに住まう天才たちが特別である所以。「現実離れしていた時代だから、映画ではそういう風に描いて欲しかった」とエルトン・ジョンも言っていたが、そういう意味でもストレート・プレイではなくファンタジックなミュージカルとして撮られた『ロケットマン』のコンセプトは大正解。ファンタジーとリアルの狭間でグリッターな光を集めて輝くエルトン。時にその狭間にひとり取り残されてしまったようにも見えるエルトン。そんなポップ・ミュージック、ポップ・スターの光と陰のメタファーを生む仕掛けとしても、ミュージカルは最大の効果を生んでいるのだ。


御大のお墨付き! タロン・エガートンの歌声が予想を遥かに超えて素晴らしい


天才シンガー・ソングライターの半生を描くミュージカルで、その天才シンガー・ソングライターを歌唱込みで演じることのプレッシャーは並大抵ではなかったと思うけれど、タロン・エガートンの歌声は期待を遥かに超えて感動を呼び起こす仕上がりだ。『SING/シング』の声優としても見事な歌声を披露していたタロンだけに、歌えるということはわかっていたが、彼はその達者な歌唱力を生かしてエルトンのモノマネをやっているのではない。エルトン・ジョンを自身に憑依させながら、同時により抽象性を増してポップ・スターのカリスマと孤独を体現していく芝居が何より素晴らしい。“Crocodile Rock”のピアノ・シーンは必見。


ミュージカルならでは。物語に深みを与えるエルトン・ジョンの珠玉の歌詞の数々


全編にわたってエルトンの曲が散りばめられた『ロケットマン』。楽曲誕生の瞬間を描いた“Your Song”のように歴史に沿って登場するナンバーもある一方で、歌詞の内容とエルトンの心境のリンクを優先し、まるで脚本の一部のようにインサートされていくナンバーも多い。ドラッギーな死のメタファーに沈んでいくエルトンの後ろで流れる“Rocket Man”や、都会の享楽とスターダムの虚無に背を向けて、田舎に、自分のルーツに帰るんだと歌う“Goodbye Yellow Brick Road”をバックに、まさに享楽と虚無の象徴たる華々しいステージから去るシーンなどは涙無くして観られない。


今こそ再評価・再定義すべきエルトン・ジョンという天才


多くの日本人にとって、もしかしたら「ダイアナ元妃の追悼曲の人」というイメージで止まっているかもしれないエルトン・ジョン。そういう状況だけに、信じられないほど多くの名曲を生み出した稀代のソングライターである彼の再評価と再定義は幾らしてもし足りないくらいだが、そのきっかけとして『ロケットマン』は過去最大のチャンスになるだろう。作詞と作曲を完全分業していたエルトンとバーニー・トーピンの特殊なパートナーシップが丁寧に描かれたことで、名曲の背景がより克明に浮かび上がってくるし、その反面、前述のように実際に書かれた時期や時系列をほとんど無視し、歌詞の内容と物語のリンクを最優先して散りばめられた曲の数々は、だからこそ70年代という時代性から解き放たれた普遍的ポップ・ソングとして今に響くのだ。


エルトンを支え、翻弄する天使と悪魔? 重要キャラを演じたジェイミー・ベルとリチャード・マッデンに注目


エルトンを演じたタロン・エガートンはもちろんのこと、『ロケットマン』には次世代を担う英国俳優が出演していて、中でも注目がまるで天使と悪魔のようにエルトンの人生に影響を与えるキャラクターを演じたジェイミー・ベル(バーニー・トーピン役)とリチャード・マッデン(ジョン・リード役)だ。ショービジネスの世界で翻弄されるナイーブなエルトンの心の支えであり続けるバーニーを、かつて『リトル・ダンサー』ではナイーブそのものの少年だったベルが演じているのは感慨深いし、ドラマ『ボディガード ー守るべきものー』の大ヒットを受けて次期ジェームズ・ボンドか?とも噂されるマッデンが、ここではエルトンをボロボロにするろくでなしの色男を演じているギャップもたまらない。また、ベル同様の子役上がりと言えば、『ライラの冒険 黄金の羅針盤』などで知られた少年チャーリー・ロウが見事に成長して登場しているのも要チェックです。

ここではご存知「カープール・カラオケ」でドライブするご機嫌なエガートン&マッデンの映像を。


次のページ『ボヘミアン・ラプソディ』との相違点、エルトン・ジョンの奇抜なコスチュームなど、残る5つの見どころは?
rockinon.com洋楽ブログの最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする