創作の原点に立った尾崎世界観

クリープハイプ『寝癖』
2014年05月07日発売
SINGLE
クリープハイプ 寝癖
レーベル移籍第一弾シングル。彼らがこのところ創作面ではなく、ビジネス面で渦中の存在となっていたのは確かである。彼らはジャーナリスティックなスタンスも持つバンドなので、次にどんな作品を出すかに注目しているリスナーも多いのではないか。結論から言えば、彼らは文学性の高い、創作の原点に立ち返るような楽曲を出してきた。彼らの武器のひとつは暗喩を駆使した歌詞にある。そして暗喩と見えるフレーズが一度サウンドに乗ると、現実描写のような生々しさを伴うのがクリープハイプの音楽であり、“寝癖”はまさにそうした楽曲だ。

資料で尾崎は「(移籍第一弾の)大事な曲なので、クリープハイプの真ん中で、ストレートに勝負したいと思った」と述べている。確かに、今回の曲はソングライター尾崎世界観の個性を強く感じさせるものだ。ミディアムテンポの中で高まる、切り裂くような声は《切ってもすぐに伸びてくるこの気持ちは 嫌になる位真っ直ぐで》といったフレーズに、心情吐露を超えたリアルな手触りを与える。この生々しい情景喚起力こそが、クリープハイプの音楽的魔力だ。(神谷弘一)
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