優れた文学としてのロック

The Birthday『COME TOGETHER』
2014年05月28日発売
ALBUM
The Birthday COME TOGETHER
間違いなく最高傑作だ。そして、過去最高にメロディアスなアルバムと言っていい。チバのメロディメーカーとしての才能と、切なさをひと言で作品化してしまうとんでもない文学的才能。それが、熟練の味と、キャリアが一周回ったことを感じさせる純度とクロスし、奇跡的な完成度で結実している。ヤバい。

《とんでもない歌が 鳴り響く予感がする》という歌詞をカッコよく鳴らすにはとんでもない歌を歌う声が必要であり、そういう声を導き出すとんでもないメロディが必要である。端的に言うと、今のバースディとはそういうバンドで、この作品はまさにそういう作品である。読むように聴けばわかる。文学とロックは本来、本質的に表裏一体をなすものなのだ。と同時にこの作品がこれだけ「歌って」いるのは、フジイケンジのギターがいよいよ歌い出したからでもある。“くそったれの世界”でフジケンは「俺はどうしようもなく愛しい」というギターを弾いている。チバが歌い、フジケンのギターが歌う。この贅沢なメロディアルバムは凛と気高く、この作品を読むように聴く時間は、今僕にとって何より大切なものだ。(小栁大輔)
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