流れる時間に埋もれたものを撃つ歌

KANA-BOON『シルエット』
2014年11月26日発売
SINGLE
KANA-BOON シルエット
2014年は本作がシングル4作目。ワンマンツアーのライヴ映像から厳選9曲が収められたDVD付きのパッケージも用意されている。いくら人々に求められているからとは言え、このペースはやはり凄い。『NARUTO-ナルト-疾風伝』のOP曲である“シルエット”、そしてカップリング曲のタイトルは“ワカラズヤ”と“バカ”である。音楽と言葉が渾然一体となって生み出される強烈なフックと同様、楽曲のテーマをざっくりと切り取る谷口鮪は今回も絶好調だ。KANA-BOONには、なぜこんなことが可能なのか。
家庭や学校や仕事や友達づきあいや恋愛は、生きる力を奪うような事柄も無数に孕んでいる。毎日はその連続と言ってもいい。前作“生きてゆく”からもひしひしと感じられたが、“シルエット”に浮かび上がるのは若い精神と身体に次々と刻まれる「経験」だ。その上で谷口は《僕らは何も何もまだ知らぬ》と歌う。“ワカラズヤ”や“バカ”に至っては、ほとんど「経験」から反射的に弾き出されたような歌である。KANA-BOONは経験から目を逸らさず、第一に歌うべきものからピントを外さないのである。(小池宏和)
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