と同時に本作が本当に凄いのは、その歴史的価値のむしろ逆、ビートルズが神話ではなく、人間として見えてくる点にある。例えばデラックス・ヴァージョンの、唇を油でつやつやさせながらフィッシュ&チップスを食べる4人(“アイ・フィール・ファイン”)や、真面目に歌うポールを懸命に笑わせようとするお茶目なジョン(“恋を抱きしめよう”)。コメンタリーで語られる“ペニー・レイン”でのリンゴの乗馬がいかにいけてなかったか話や、ファンを含む多彩なエキストラを迎えて収録された“ヘイ・ジュード”で後半ポールを押しのけ段ボールを掲げる老人の正体など、人間味溢れる一面と、復元・修復された美しい映像によって、より一層ビートルズが好きになってしまうのだ。後半、次第にばらばらになっていく4人と、それでも壮絶にかっこいいアップルの屋上ライヴ──。史上最高のロック・バンドの誕生から終焉を、楽しく、せつなく、まるで当事者のような目線で目撃できるとんでもない作品。(井上貴子)
ザ・ビートルズの人間復興!
ザ・ビートルズ『ザ・ビートルズ 1+ ~デラックス・エディション~』
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と同時に本作が本当に凄いのは、その歴史的価値のむしろ逆、ビートルズが神話ではなく、人間として見えてくる点にある。例えばデラックス・ヴァージョンの、唇を油でつやつやさせながらフィッシュ&チップスを食べる4人(“アイ・フィール・ファイン”)や、真面目に歌うポールを懸命に笑わせようとするお茶目なジョン(“恋を抱きしめよう”)。コメンタリーで語られる“ペニー・レイン”でのリンゴの乗馬がいかにいけてなかったか話や、ファンを含む多彩なエキストラを迎えて収録された“ヘイ・ジュード”で後半ポールを押しのけ段ボールを掲げる老人の正体など、人間味溢れる一面と、復元・修復された美しい映像によって、より一層ビートルズが好きになってしまうのだ。後半、次第にばらばらになっていく4人と、それでも壮絶にかっこいいアップルの屋上ライヴ──。史上最高のロック・バンドの誕生から終焉を、楽しく、せつなく、まるで当事者のような目線で目撃できるとんでもない作品。(井上貴子)