デビュー前からザ・ヴァクシーンズやパーマ・ヴァイオレッツとともにUKツアーを敢行したり、ジュリア(Vo・B)がサンローラン パリのモデルに起用されたり、と多方面から熱視線を集めるNYブルックリン発の3ピース=サンフラワー・ビーンだが、ザ・ブラック・キーズやディストリクツを輩出した名門ファット・ポッサムからリリースされるこのデビュー作を聴けば、その誘引力の理由が一発でわかる。ジュリアの艶めかしい歌声が醸し出すニュー・ウェーヴ感とアンニュイな浮遊感を、時にニック(Vo・G)のディストーションとジェイコブ(Dr)のビートがパンキッシュに切り裂き、時にクリーン・トーンの退廃と痺れるような白昼夢感を塗り重ねていく。ミステリアスな妖気、拭い難い蒼さ、抑えきれない熱さ……要はユース・カルチャーとしてのロックの魔力を片っ端から体現しまくっているのだ。40代の自分もそうだったが、おそらく50代、60代でも、触れた瞬間に聴く者すべてを10代の甘酸っぱい衝動の坩堝に叩き込むこと必至のヴァイブが結晶した快盤。“ヒューマン・セレモニー”の陶酔感も“ウォール・ウォッチャー”の爆走感も最高。(高橋智樹)