プライマルらしさの一極強調

プライマル・スクリーム『カオスモシス』
2016年03月16日発売
ALBUM
プライマル・スクリーム カオスモシス
オープニング・ナンバーの“トリッピン・オン・ユア・ラヴ”こそ“ローデッド”系の多幸感溢れるアッパーなトリップ・チューン(ちなみにコーラスを担当しているのはハイム姉妹)だが、その後の流れはよりメランコリックでダークな方向へと進んでいく。ただしメランコリック&ダークとは言えスカイ・フェレイラとデュエットした先行シングル“ホエア・ザ・ライト・ゲッツ・イン”にも象徴されるように、あくまでもボビーの甘い歌声が活かされたダーク・「ポップ」である一線は守りきったヌケの良さが本作のキモだ。ここではダフィのキーボードが全面的に活躍したエレクトロ・チューンが目立つ。その他にもお得意のゴスペル・ソウル、80年代のボウイ調のファンク、ニュー・ウェイヴやゴシック等々、切り口は様々ありつつも、最終的にはポップ・アルバムとして収束していくという意味で、洗練されたモダンネスを感じさせる1枚だ。前作『モア・ライト』が思いっきりサイケデリックで過剰なほどプライマルらしさを詰め込んだロックンロール・アルバムであったことと比較すると、わりと真逆の方法論で象られたアルバムだと言えるかも。(粉川しの)
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