フランツ・フェルディナンドとアークティック・モンキーズの浮上寸前、00年代前半のUKを代表するバンドといえば、まちがいなくザ・リバティーンズと彼らだった。2014年の蔵出し盤を経て約6年ぶりとなるこの新作は深いサイケデリック性もキャッチーなポップ度も激烈に高まった。ファースト以来の大傑作。
彼らが先導した00年代リヴァプール・シーンはアークティックの憧れであると同時に、ノエル・ギャラガーも入れこんでいた。だからだろう、今回はイグニション・レコーズ契約第1弾。さらに言えば本作は2014年に52歳で亡くなったデルタソニック主宰者アラン・ウィルズ(10年以上ザ・コーラルの面倒を見てきた)に捧げられている。だけど、お涙頂戴には全然なっていない。むしろその対極、彼の魂が聴いたら大喜びしそうな、素晴らしく力強い「作品」となった。インターネットの闇に対する抵抗とも思える歌詞が散見されるのも現代的。そのひとつである「本編」の締め括り、11曲目の“フィア・マシーン”とかはドアーズの“ライダーズ・オン・ザ・ストーム”やスーサイド“ゴースト・ライダー”を思わせる。最高だ。(伊藤英嗣)
弔い合戦? いや、魂の祝祭!
ザ・コーラル『ディスタンス・インビトウィーン』
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