番外編、でも必聴

フローティング・ポインツ『カイパー』
発売中
ALBUM
フローティング・ポインツ カイパー
自主リリースやDJ活動で認知を広め、昨年遂に登場したデビュー・フル・アルバム『エレーニア』が高い評価を受けたフローティング・ポインツ。テクノ/ダブステップ、スピリチュアル・ジャズ、モダン・クラシカル等々、幅広い影響源のクロスオーヴァーにクラブの現場感覚をミックスさせたイギリス人らしい見事な音の錬金術ぶり(仲良しである先輩:フォー・テットの最初期を思わせる)は、「現英エレクトロニカ界の出世頭」の名がふさわしい頼もしさだ。

早くも登場した新作は、バンドとのライヴ・パフォーマンスを通じて培ってきたインプロを基盤とするジャム×2のEPという内容。とはいえどちらも10分以上の大作で聴きごたえは充分だし、テサラクト空間でカンとピンク・フロイドが衝突したごときM1のぶっ飛んだ盛り上がり、フェンダー・ローズの甘い反復が感覚を涅槃の浜辺へ誘うM2の情感豊かなフロウと、異なる表情で楽しませてくれる。刻々と変化しているフローティング・ポインツの音宇宙の最新ドキュメントにして、噂のライヴをどうにも体験したくなる好内容。いわば「本編」にあたる『エレーニア』と併せて、ぜひ爆音で聴いてもらいたい。(坂本麻里子)
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