序盤、ベックのギターが右後方、対峙してマックス・ミドルトンのピアノが左後方に定位されていたりするような配置は元の4chと同じ。増えた分のフロント・スピーカーに目立って新しく置かれた要素などはなく、基本的にオリジナルを活かした形になっているが、コージー・パウエルのドラムの立体感は増しているし、サブウーファーが加わったぶん、ベースの迫力もグンと増した。
明らかにこちらの方が良い音だと思う。もちろん音楽自体も十分に素晴らしいものなので、熱心なファンならずとも、1週間早く発売された『ベック・ボガート&アピス』と併せて、ぜひサラウンド版を体験する機会を持ってほしい。そして、『ラフ&レディ』についても5.1ch版の発売を心待ちにしています。(鈴木喜之)