斬新なモノラル体験の不思議

ザ・ローリング・ストーンズ『ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX』
発売中
ALBUM
ザ・ローリング・ストーンズ ザ・ローリング・ストーンズ MONO BOX
デッカ/ロンドン・レコーズ時代の60年代ストーンズ最新ボックスは、初のCD化アルバムも多数含むモノ・ボックスだ。英・米盤から厳選したオリジナル・アルバム14作+ボーナス・ディスクという構成。まず聴いてみて驚いたのが、最新リマスタリングの効果だ。モノラルなのに異様に奥行きや膨らみがあるサウンドで、個々の演奏パートが付かず離れずという絶妙な距離感を保ちながらクッキリと浮かび上がる。UK盤1stからして、どこのクールな新人R&Bバンドの作品だというぐらいにフレッシュで立体的な響き方をしており、モノラル/ステレオの二元論を超えた新しいリスニング体験と言っても過言ではないほど。ボーナス・ディスクの『ストレイ・キャッツ』がまた親切設計な編集盤になっており、シングル曲やアルバム未収録曲(イタリア語ヴァージョン“アズ・ティアーズ・ゴー・バイ”も)をコンパイルすることで、60年代ストーンズ作品のネックである編集のズレをある程度補っている。つまり、ヴェテランのファンを満足させながら、新規リスナーにもありがたい、という離れ業をやってのけたボックスに仕上げられているのだ。(小池宏和)
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする