くるりにとって初のドラマ主題歌、しかもそのドラマがNHKの時代劇というタイアップがついたニュー・シングル。とはいっても楽曲は、そうした周辺情報とは別のところで、くるりの自然体そのものの曲になっている。ミドルテンポの3拍子のリズム、ゆっくりとしっかりと歌いだされる岸田の歌、そして、日本語の妙を巧みに昇華してみせる歌詞。くるり節ド真ん中と言える楽曲だ。けれど、そこから微かな変化を見出すとすれば、ダウン・トゥ・アースな匂いがこの曲からは立ち上ってくる。触感、空気、風景そのものが纏う色。そうしたデジタル化できないものが楽曲にしっかりと刻み込まれている。特に、夏のライブにも参加していた内橋和久のギターはすごい。浮遊感をもってオーロラのように舞いながら、地に足がしっかりと着いている。ピアノで三柴理、フィドルでハンバート ハンバートの佐藤良成も参加した2曲目、BO GUMBOSのカバーである3曲目と、曲を追うごとにその匂いは更に強くなる。COUNTDOWN JAPAN 08/09でなぜテンガロン・ハットを被っていたのか、分かった気がする。(古川琢也)