「脱皮後」を象徴する1枚

インターポール『ア・ファイン・メス』
発売中
EP
インターポール ア・ファイン・メス

昨年リリースした6作目『マローダー』、そして来日時披露した『ターン・オン・ザ・ブライト・ライツ』の再現ライブを経て、インターポールは再びフレッシュな音を鳴らそうとしている。デビュー時に鮮烈な印象とともに登場したバンドはそのイメージからの脱却が難しいのが常だが、彼らはとくにそのことで苦しめられてきた。ポストパンク・リバイバルで括られることへの抵抗感が彼らの原動力でもあったが、同時にサウンド・アイデンティティを確立することの難しさにも繋がってきたのかもしれない。『マローダー』はベテラン・プロデューサーであるデイヴ・フリッドマンを迎えることで彼らの個性を嫌みなく引き立たせ、結果、初期からのサウンドをヒップホップ/R&B時代に合わせて更新することに成功した。

本作は同様にフリッドマンをプロデューサーとした5曲入りEP。現行のヒップホップなどのプロダクションを意識した『マローダー』に比べて、今回はよりストレートにロック・サウンドが前に出ている印象だ。ソリッドなギターが突き刺さる“ファイン・メス”はポストパンクと言っていいが、ここでは初期からの自分たちのカラーをはっきりアイデンティティとして受け入れているような清々しさがある。メロウなメロディが逞しいギター・プレイと絡む“ノー・ビッグ・ディール”、リフが抑制されたグルーヴを醸し出す“リアル・ライフ”と、インターポールらしい陰りのあるリリシズムが際立つ曲が並んでおり、現在の彼らが自身の長所にフォーカスできていることがよく伝わってくる。「ファイン・メス」、すなわち「ややこしい事態」という言葉は、ある種の混沌をスタイリッシュに変換してしまう彼らの美学を象徴していると言えるだろう。 (木津毅)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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インターポール ア・ファイン・メス - 『rockin'on』2019年6月号『rockin'on』2019年6月号
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