他人事ではない歌ばかり

竹原ピストル『It’s My Life』
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ALBUM
竹原ピストル It’s My Life
竹原ピストルの歌は、無骨で荒々しい。それなのに温かくて優しいのが不思議だ。この独特な魅力を噛みしめながら最新作に耳を傾けたのだが、「生きるのを諦められない人物」とでも言うべきものが次々と浮き彫りにされるさまに、とても心動かされた。どの曲も聴いているとイメージされるのは、一度も理想通りの結果を手にしたことがなさそうな人たちばかりなのだが、どうにかこうにか今日を明日へと繋げることは、誰もやめようとはしていない。そして、それは多くのリスナーにとって、自分自身を自然な形で重ねられる姿なのではないだろうか。今作のラストの曲“ハッピーエンド”を締め括る《このままいっそ終われないまま 終わってやるさ》というフレーズが生々しい。おそらく一般的にイメージされるようなハッピーエンドとはほど遠いモヤモヤした結末なのだと思うが、たとえ報われなかったとしても往生際悪く生にしがみつき続ける人生を心から肯定するトーンが、この言葉を放つ彼の歌には確実に宿っている。こういう音楽が世の中に存在するという事実に仄かな希望を見出せる人は、たくさんいるはずだ。(田中大)
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