フライングVの神の集大成

マイケル・シェンカー・フェスト『レヴェレイション』
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ALBUM
マイケル・シェンカー・フェスト レヴェレイション

マイケル・シェンカーの過去のバンドで演奏した面々が集結し、ボーカルが4人もいるプロジェクトの新作。ドラムのテッド・マッケンナ急逝という悲劇はあったが、やはり旧作で叩いていたサイモン・フィリップスなどの助力を得て、アルバムは完成した。なにしろ大所帯のプロジェクトだし、過去に喧嘩した相手もいる。デビュー作『レザレクション』から早くも1年強でセカンド『レヴェレイション』の発表とは奇跡に思える。

曲ごとに4人がボーカルを分担しているが、1曲目“ロック・ステディ”は全員で歌っている。同曲はビデオも作られており、ロック人生を回想する詞のゆったりした曲を熟年ロッカーたちが和やかに演奏する風景が微笑ましい。アルバム全体としてはアップ・テンポでハードなナンバーが主体で、マイケルらしいメロディアスなギター・フレーズが織りこまれている。

また、ロニー・ロメロのゲスト参加により、グラハム・ボネット、ドゥギー・ホワイトとあわせてリッチー・ブラックモアのレインボーの歴代ボーカル3名が揃った。ここには、比べられてもかまわない、負けないものを作っているというマイケルの自信が感じられる。日本盤ボーナス・トラックにLOUDNESSの高崎晃がゲストの音源も収録され、ギター・バトルが聴ける。ベテラン・ギタリストの活動の集大成といえる充実作だ。

これだけ多人数のバンドを順調に仕切っているのだから、マイケルも人間が丸くなったのかと思う。だが、最近の発言を読むと兄ルドルフ(スコーピオンズ)への辛辣な攻撃を繰り返したりしている。かつてのマイケルは怒りのあまり自暴自棄になるところがあったが、今の彼は怒りを無駄なくエネルギーとして使う術を覚え、表現へと昇華できているようだ。 (遠藤利明)



詳細はワードレコーズの公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』10月号に掲載中です。
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マイケル・シェンカー・フェスト レヴェレイション - 『rockin'on』2019年10月号『rockin'on』2019年10月号
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