潮風越しの「今そこにある終わり」

DOES『世界の果て/トーチ・ライター』
2009年04月08日発売
SINGLE
DOES 世界の果て/トーチ・ライター
冷たい潮風と競い合って加速するビートが、あたかも大切な人との別れの運命に抗う心のように狂おしく切なく響く“世界の果て”。≪壊れてしまうなら僕だけでいい≫≪嘘でもいいから信じてくれ/少しでもいいからそばにいてくれ≫と、殉死覚悟の情愛を歌い上げるハード・バラード“トーチ・ライター”。ロック・ミュージシャンとしてのエゴを極限まで振り捨てて、「大切なもの」だけにどんどんフォーカスを合わせつつあるDOESの音楽は、それによってさらにロックとしてのシリアスな切れ味を増しつつある――ということが『曇天』『陽はまた昇る』と続いたシングルでも十二分に確認できたが、今作はまさにその決定打だ。

僕らは常に「終わり」に直面しながら生きている。≪渚を渡る潮風が/錆びれる想い運び去る≫という“世界の果て”の風景は、遥か遠い異国の風景や想像の産物などではない。一瞬一瞬をぎりぎり燃やしながらロックを紡いでいる氏原ワタルの瞳に映った「今、ここ」の風景そのものだ。その透徹した視点こそ、彼らが2009年を射抜くロック・バンドであることを証明している。(高橋智樹)
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