18年にリリースした前作『GOLD』のラストに収められていた“TONBO”の《終わりを知っているのに僕たちは/そう、それでも 遠くに行けると言う》という言葉を自ら証明するように、あるいは《夕方5時のサイレン》に象徴されていた「迫り来るもの」から遠ざかるように、《このまま/明日を忘れて/信じさせてよ/forever》(“Dance all night my friends”)《HIGH WAY BEACH/あと少し/短い夢のようで夢じゃない》(“HIGH WAY BEACH”)と美しい世界へと疾駆する今作のAge Factory。美しい歌と不協和音、人間としての理想と蝕まれる精神のあいだで引き裂かれるようにしながら《僕らは走る》(“1994”)という意志の先で《僕らにはもう何も要らない》(“nothing anymore”)という結論に達する時、目の前に現れるのは「理想/現実」という二項対立を超えたロックの彼岸だ。つまり、局面が変わったのだ。彼らの音楽が絶え間ない闘争の記録であることは変わらないが、今作の清水エイスケの叫びには、自身の内側に答えを見つけたような穏やかさと、それでも飽き足らない渇きがある。(小川智宏)
穏やかに渇いている
Age Factory『EVERYNIGHT』
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ALBUM