静岡発のメロディックパンクバンドが放つ1stフルアルバム。ブレることなく、自らの音楽の核をなす部分のみを濃縮して表現する、その潔さにあっぱれ。収録曲のほとんどが2分半以内で完結するスピード感は、生み出されるメロディやフレーズの強度に対する自信でもあると思う。Aメロ、Bメロ、サビ、といった一般的な楽曲構成にとらわれない自由な楽曲でも、キャッチーなメロディラインやギターリフが瞬時に頭に刻みつけられる。楽曲の尺が短かろうと、3ピースのシンプルなアレンジであろうと、この親しみやすさこそがTrack'sの強みではないだろうか。わずか35秒を高速で駆け抜けていく“Purpose of life”などは、歌い出しが《まぁ一旦休憩しようよ。》と語りかける英詞でありながら、まるでそこにとどまるつもりなどないかのように突き進んでいく様が痛快の極み。アコギ1本の弾き語りで聴かせる“Oncoming cars”は、生田楊之介(Vo・G)の歌声に宿るイノセンスを感じさせるなど、バンドとしての音楽性の広がりもしっかり感じさせるフルアルバムである。一切の間延びを排除した全11曲。(杉浦美恵)
足さない、盛らない潔さ
Track's『Inside Outside』
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