ロック・エンタメの最高峰

ピンク・フロイド『光~PERFECT LIVE!』
発売中
Blu-ray
ピンク・フロイド 光~PERFECT LIVE!

ロジャー・ウォーターズ、ニック・メイスンとピンク・フロイド絡みの好ライブ作が続いた年を締めくくるにふさわしいものだ。88年ピンク・フロイドが『鬱』発表時に行ったツアーを収録した『光~PERFECT LIVE!(Delicate Sound Of Thunder』を、リミックス、レストアしたもので、オリジナル・リリースに未収録8曲追加の2CDやBD、DVDの単品リリース、そして4枚組ボックスには40ページのフォト・ブック、ツアー・ポスター、ポストカードが付く。

発表当時も話題となったが、今回オリジナル35mmのネガから修復、4K変換して収録された画像が、まず美しく、加えて音の鮮度も大幅に上がり、後方にセットされたスクリーンや挿入されるイメージ映像とのダイナミックな広がりは、実際に体験したライブの記憶とスムーズに重なる。約2年かけ全世界で計198公演、425万人を動員、フィルム、ライティングを含めた大がかりな映像演出とライブそのものがこれほど融合したステージは無かったし、ピンク・フロイドというバンドが追求してきたコンセプチュアルなものがライブ・エンターテインメントと究極的に一体化している。

ツアーの主題である『鬱』の全曲と、過去の名曲とのバランスもよく、中盤の“吹けよ風、呼べよ嵐”から“虚空のスキャット”、“あなたがここにいてほしい”、“アス・アンド・ゼム”へと続くあたりの昂揚感は特別で、30年以上前というのを忘れさせてくれる。しかし、リチャード・ライトがもういないのは現実であり、デイヴ・ギルモアにしてもこれほどイマジネイティブかつエモーショナルなギターを弾くことは、もう難しいだろう。しかしこれが残されているから良いかと、心から思える後期ピンク・フロイド最高のライブ作品だ。(大鷹俊一)



詳細はSony Music Direct(Japan)のスペシャルサイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


ピンク・フロイド 光~PERFECT LIVE! - 『rockin'on』2020年12月号『rockin'on』2020年12月号
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