2020年春の、ファーストフルアルバムのツアーは、コロナ禍で開催できなくなってしまったが、その時期に《ヘイ ロンリーベイビーズ／ライブハウスで会おうぜ／僕ら孤独になって　見えない手を繋ぐのさ》という必殺の一行を持つ配信シングル“ライブハウスで会おうぜ”を放ったハンブレッダーズ、その次の音源になるのが3曲収録のこのシングル。“ライブハウスで会おうぜ”の時も感じたが、この3曲を聴いてさらに強く思ったこと。ムツムロアキラ、メロディメイカーとして、ゾーンに入っている。コロナ禍で大変な時であるにもかかわらず。いや、大変な時であることも原因のひとつになっているのかもしれないが、3曲とも、終わると即リピートしたくなるくらい、とにかくメロディが際立っている。こういうコードワークだからこういうメロディをのっけられる、とか、そういう次元を超えて、「なんだかわからないけどいいメロが浮かんじゃう」みたいな次元に達しているのではないか、と思う。オーソドックスなギターバンドのフォーマットでこんな曲をどんどん生めること自体に、とても希望を感じる。（兵庫慎司）

『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より