前作『REVIVAL』から約1年7ヶ月ぶりとなる3rdフルアルバム。元来、作品を重ねるごとに表現の幅を広げているバンドであるが、それは横山優也（Vo・G）のソングライティングとも関係が深い。今作の収録曲は彼が2020年に感じた心境が大きく影響しているとのことで、スケールの大きな楽曲から、繊細なタッチのフレーズで編み込まれた内省性の高い楽曲、シューゲイザー的なアプローチの英語詞曲、風通しのいいギターロック／パンク、硬派なハードコア、ソフトでセンチメンタルなミドルナンバーなど、全曲で彼の抱いた喜怒哀楽や思考が自然体で存在している。それが実現できるのは、楽曲への理解度と共鳴度が深い楽器隊とのグルーヴあってこそ。ライブの開催が難しい中で、それぞれが音楽家としての矜持を高めていたことが窺える。その作品を締めくくるのが“東京より愛を込めて”。長い間歌い続けていたモチーフの「東京」を冠し、バンドマンとしての心情をストレートに綴ることは、ひとつの到達点ではないだろうか。穏やかさと力強さを併せ持つ音色が描く未来は、切なくなるほど優しい。（沖さやこ）

『ROCKIN'ON JAPAN』6月号より