シャープなギターリフが轟くパワフルで性急なイントロ。吹き荒ぶ強風に果敢に立ち向かうかのようなsuisの歌はいつになくパワフルだ。その意志の背中を押すように、『風の又三郎』にオマージュを捧げたような《どっどど どどうど》という厚いコーラスが入る。闘志が滲むようなギターのカッティングが細かく入れ込まれたアンサンブルは、《吹けよ青嵐/何もかも捨ててしまえ/悲しみも夢も全て飛ばしてゆけ、又三郎》というsuisのメッセージを、閉塞した時代のど真ん中に射そうとする。
これまでも物語性の高い楽曲を生み出してきたヨルシカが、日本のトラディショナルな物語における普遍的なメッセージにインスパイアされ、今の時代において有効なメッセージを描き出した。時代のストーリーテラーとしてのヨルシカは、この曲でまた新たなフェーズに進んだように思える。(小松香里)