時の中を凛と佇む

緑黄色社会『陽はまた昇るから』
2022年04月20日発売
SINGLE
緑黄色社会 陽はまた昇るから
アルバム『Actor』が出たばかりだが、早くも届けられるニューシングル。表題曲は『映画クレヨンしんちゃん』の主題歌で、「国民的バンド」を目標にしてきた彼らにとって大きなタイミングと言えるだろう。とはいえ、気負いが見えるかというとそうでもなく、カップリングも含めて、作品全体を通してどこか落ち着いた、穏やかなトーンを感じさせるところに本作の魅力があるように感じる。

表題曲“陽はまた昇るから”は、作曲を穴見真吾が、作詞を小林壱誓が手掛けている。歌詞は大人が子どもに語りかけるような視点で書かれているが、そこに説教臭さや押しつけがましさはなく、置き手紙のようにメッセージが綴られているところがいい。カップリングの“時のいたずら”は長屋晴子が作詞作曲。レイドバックしたバンドサウンドに乗せて、流れゆく時の中で「今」を大切に生きる人の、凛とした強さが歌われている。

2曲とも「時間」をモチーフにしている点が共通しているが、弄されることも抗うこともなく、どちらも肯定的な筆致で描かれている。大らかで柔らかなバンドになってきた印象がある。(天野史彬)

公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする