今や押しも押されもしない京都の雄、ROTTENGRAFFTYが約4年ぶりのフルアルバムを完成させた。2019年からバンドを支えてきた“ハレルヤ”で幕を開け、そのエネルギーを凌駕する勢いのアグレッシブな新曲“秋桜”へ。冒頭2曲で「ああ、ロットンだ」と心を掴まれる。さまざまなものが変化してしまった時代の中で、愚直に歩き続けた彼らの旅路をギュッと封じ込めた濃密な一枚だ。その旅の途中でライブ活動を離れ、サウンドプロデューサーとなったKAZUOMIの名前はほとんどの作曲クレジットに登場。彼が叫ぶ「音で殺す！」の声が聴こえてきそうなヘヴィチューン“SPECTACLE”“永遠と影 [New Mix]”や、メロウなバラード“ハロー、ハロー”、アコギのフレーズが切ない“Goodbye to Romance”など、エモーショナルサイドも潤沢で、しっかり存在感を堪能できる。そのうえで熱いリリックを放つNOBUYAとN∀OKIの絶対的ツインボーカル、地盤を支える侑威地（B）とHIROSHI（Dr）の強固なリズム隊。変わらず5人一体のロットンは、まだまだ止まらずに突き進んでいく。（後藤寛子）

『ROCKIN'ON JAPAN』11月号より