青と黄が混ざると緑になるように、バンドは異なる個性を持ったメンバーが融合し、尊重し合うことでできあがる、ひとつの生命体だ。そこから生まれた音楽は、リスナーの手に届くことによりまた新たな色が重なり、可能性を広げていく。彼らの1stフルアルバムは、バンドだからこそ成し得る奇跡のようなリアリティを、まっすぐに信じた12曲が揃った。
各プレイヤーが多彩な表現にチャレンジしたロック/パンクナンバーは終始強い結束を感じさせ、フレッシュな空気感に満ち溢れる。さらに過去作と比べると、より語り掛けるようなスタンスの歌詞が多いのも印象的だ。えい(G・Vo)のバンドマンとして、フロントマンとして、二十歳を超えた大人として、誰かを愛するひとりの人間として、それぞれの視点で綴られた信念や哲学、メッセージは、聴き手の瞳の奥を凝視するように一言一言が熱く鋭い。またどこか達観した冷静な視点やロマンチシズムも持ち合わせているため、そのコントラストにも目を奪われる。音の一つひとつに生々しく刻まれた迷いや高揚感は、この先の進化を見据えた固い約束のようだ。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より)
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